とある母の思うこと

我が家のできごと、本、映画etc..私の備忘録

私の「迷い」と「決断」、その間にいた背中を押してくれた人のこと

日々、何かと迷っては決断している。

週末の予定、買い物に行った時、日々の晩ご飯のメニューに至るまで。小さな「迷い」と「決断」を繰り返しているうちに、時に大きな「決断」を必要とする時がやってくる。

 

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私にとって、今までで一番の大きな「迷い」と「決断」は長年勤めた会社を退職した時ではないかと思う。あの時、自分の職場環境は恵まれていた方だと思う。でも、心のどこかで、このまま同じ環境で勤め続け、歳を重ねていくことに少し葛藤があった。同期の中では、会社の中で更なるキャリアを求めて頑張る人、新たな夢を見つけて退職する人、結婚、出産退職する人、みんな、それぞれ向かう道が別れ出した時期だった。あの時、私も何かを変えてみたかった。以前から英語を勉強したい気持ちがあったため、一度、海外で生活してみたいと考えるようになった。だけど、英語会話レベルも乏しい、今あることがすべてリセットされる、帰国してからのプランもない。「ないない」だらけの私は、決断に至れる勢いすらなかった。迷った。迷った。迷った。でも、心の中ではどうしたいかは決まっていたんだけどね。

 

そんな時、職場の派遣社員のアキさんに相談をした。テキパキと仕事をこなす彼女はワーキングホリデーの経験もあった。

「やってみたい気持ちはあるものの、仕事、給料、友達とか一気に無くなってしまうのかなと考えるとなかなか決断が出来ない」と悩みを打ち明けてみた。

「今は無くなるものばかりが目に見えるけど、今あるすべてが無くなるわけではないし、新しく得るものも必ずあると思うのね。会社の友達って辞めても続く人は続くし、続かない人は続かない。本当に大切な人って自分の中にも残ると思う。だけど、友達っていくつになっても出会える時があるんだよ。私は行きの空港ですら友達ができた。だから、この先、新しい出会いだってあると思うよ。この会社で頑張るのも良いと思うけど、心に抱くものが色々出てきたならば、動いてみても良い時かもしれない。無責任な考えかたかもしれないんだけど、まだ若いから、後のことは後に考えてみても何とかならないかな。今、あなたを見ていると、やった後悔より、やらない後悔の方が大きく残りそうな気もするよ。」と話してくれた。彼女との会話の後、自分の頭の中からぐるぐる回っていた何かが抜けていった感じになった。数ヶ月でも良いから海外で英語を勉強してみようかと、具体的に学校を探し出した。その後、私はようやく退職を決め、生まれて初めて一人で海外へと飛び立った。

 

私が退職して、あれから随分と時は流れた。会社時代の友達の数人は今でも、たまに会うことがある。仕事で身につけてたスキルが意外にも今の生活の中で役に立っている時だってある。それどころか、生活能力が低かった私はあの時より沢山、出来ることは増えたかもしれない。会社を辞めることは、すべてをリセットする訳でなかったと後々になり感じることがある。海外から帰国した私の英語の習得は微妙だったけど、海外での生活は人生において濃い時間を過ごしていたことは確かだったと思う。退社前に心配していた帰国後の仕事も無事に見つかった。当時を振り返っても、あの時の自分の選択に後悔は感じない。

 

自分の中では何となく答えが決まっている時があっても、なかなか前に進めない時もある。だから、一人で決断に至れなかった私は少し背中を押してくれる人を求めていたと思う。

 

アキさんはかつて大手企業に勤めていたらしいが、そこを退職する時、海外に渡った時、帰国する時、様々な決断に出くわしていたんだろうな。彼女は貯金が出来れば、異国で待つ恋人の元に戻ると話していた。しかし、彼女が退職された数年後、日本で見かけたという話を人づてに聞いたことがある。今、どうされているのか近況は分からない。今回、自分の「迷い」と「決断」を考えた時、自分の人生の転機にいた、彼女のことをふと思い出した。お元気で過ごされているかな。いつか、あの時のお礼を伝えられる日がくれば良いなと思う。